お前のために歌うから。
誕生日の奇跡
あれから しばらく月日が立ち、あたしの誕生日がやって来た。


あたしはどう過ごしたいか決めている。

瞬に電話を掛ける。



「ねー、瞬 今日の夜あいてる?」

「や、あいてるけど…行けない」


え?

嘘…。


「…ヒロがいるだろ?」


彼の言葉に目を見開く。


何でヒロくんの名前が出るの…?



「あたしはヒロくんじゃなくて…」


瞬がいいの。


なんて言えない。



ってか あたしって馬鹿すぎ。


なんで断られる可能性 考えてなかったんだろ…。


絶対無理って決まってるのに。



瞬の優しさに自惚れて…。


勝手に突っ走ってしまうのは私の悪い癖。



「ごめん…分かった、ヒロくん誘うよ」

そう言って電話を切った。



電話の前で大きく溜め息を付きしゃがみ込んだ。

今更自分の気持ち気付いたって遅いよ…。


瞬はきっと私がまだヒロくんのこと好きなんだと思ってる。
< 23 / 59 >

この作品をシェア

pagetop