お前のために歌うから。

よし。意を決して彼の家のインターホンを押す。

「はい」瞬の声。

「あの、あたし…心菜です!」と言ってすぐに瞬が開けてくれた。


「え…?心菜?」


そ、そんな驚かなくても。

瞬は仕事帰りなのか綺麗なタキシードを着ていた。

「つーかヒロは?」


何でヒロ、ヒロって…。

あたしが好きだったからなんだろーけど。


「違うよ…っ」

「え?」瞬が目を大きく見開く。


「あたし…瞬がいいの」


恥ずかしかったから下を向いて小さな声だけど…


でも言えた。素直な気持ち。


瞬がフッと笑い「んじゃ どっか行こ 」と言って


駐輪場に行きバイクに跨がる。


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