お前のために歌うから。
私にヘルメットを投げてくれるが初めての経験なので

「ねー ブカブカなんだけど…」と彼を見上げる。


「ばーか、下手くそ」瞬があたしの顔を覗き込んで被せてくれた。


そのまま あたしの手を掴み自分の腰に置く。


「わわっ…」


「ちゃんと捕まっとけよ」


バイクが走り出し、あたしは彼の細い腰にぎゅっとしがみつく。


この距離感が心地よくて、幸せだった。
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