お前のために歌うから。
「今日は本当にありがとう!すっごく楽しかった~」
「俺も」瞬が笑ってくれると安心する。
「じゃあね」手を振って帰る。
ほんと今日は幸せすぎたな…。
ありがとね、瞬。
家に入ろうと門を開ける。
っていうか、あたし…こんなに瞬のこと好きだったんだな。
今日ずっとドキドキしてた…。
でも、叶わない恋だから。
あたしとあいつは、あまりにも違いすぎるから。
この恋は秘密にする。もう決めた。
「心菜!」
すると耳に聞こえるのは、大好きな人の声。
…幻聴?
だって今さっきバイバイしたし。
あたし、あいつのこと考えすぎて…。
「心菜っ」
「え?」と振り返ると別れたばかりの瞬の姿。
手を掴まれグっと引き寄せられたと思えば彼の綺麗な顔が近付き
唇が重なる。
しばらく状況が掴めず呆然とする。
「おやすみ」あたしの頭を優しく撫でて帰ってしまった。
え?
待って、ちょっと待って。
突然のことに頭が整理できない…。
あたし、瞬に
あたし、瞬にキスされちゃった…。