お前のために歌うから。


ライブ当日。

開演30分前に席につく。

「それにしても遠いな~、文句は言えないけど!」と茜が笑いながら言う。

確かに実際に座ってみると思った以上に遠い。



「ねー、昨日どうだった?おばちゃんから聞いたよ」

わー、ちょっと情報早すぎ。
 


「あのね…」

あたしは ざっくり昨日言われたことを話す。


「ちょ、まって。やばい、それ告白じゃん」


「…やっぱり?」


「良かったじゃん 心菜!それで今日見つけてくれたら言いわけだ」

「えー、無理でしょ!この人だよ?」



私はアリーナの中を見渡す。
すでに ほとんどの人が座っている。凄い人の数だ。


「いやー、でも瞬くんを信じるしかないよ!」
「…そうだけどさ~」


「んで?心菜の気持ちは伝えたの?」

茜があたしの顔を覗き込む。
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