お前のために歌うから。
え?

そういえば…


「…まだ?かな」


茜がはぁ~と大きく溜め息をつく。


「じゃあ公演後、絶対 気持ち伝えること!」


ええ?そんな、急すぎ。

「分かった?」

「…はい」あたしは茜の物凄い剣幕に苦笑いで頷く。


「それにしても瞬くん、やることまでイケメンだな~」

「ほんとにねー」



そんなことを話しているとライブが始まった。


照明が消え、ライトが当たり、瞬たちが出てくると会場は悲鳴で溢れる。


あたしも「瞬~」と叫ぶけど すぐにかき消される。


やっぱり格好いいな…。

ステージ上にいる彼を見て改めてそう思う。



…ほんとにあたしでいいのかな。


彼が眩しくて より遠い存在に見える。

 

でも…


あたしも瞬を信じる。
 

あいつが あたしのこと見つけてくれたら…あたしも好きって伝えるんだ。




でも見つけてもらうどころか まだ此方の方面さえも見てくれてない。

決めたはずなのに心が折れそうになる。


やっぱり無理なのかな…。


遠すぎのかな、あたし達。
< 38 / 59 >

この作品をシェア

pagetop