お前のために歌うから。
ライブはどんどん進み最後の曲になってしまった。


やば…、終わっちゃうよ。


「では、聞いて下さい。『only』」


イントロで分かった。昨日聞いたあの曲だ。



…あたしのために歌うって言ってくれたあの曲。



瞬の声が、思いが あたしの胸に響く。


ふと彼が此方を見たような気がした。


気のせいかな。



でも じっと見つめられてて。あたしも彼から目が離せない。


歌詞をゆっくりと聞くと感情が溢れ出す。

どうしよう、涙が止まらないよ。



あたし、こんなに瞬のこと好きだったんだ…。



「ちょっと心菜どこ行くの!?」


私は控え室に向かって走った。
< 39 / 59 >

この作品をシェア

pagetop