お前のために歌うから。
いつの間にか、あいつのこと好きになってた。

本当に俺らしくねーんだけど。



あいつは俺が 唯一手に入らないものだったのかも …


だからこそ強引にはしたくなくて。



やっぱ初めて本気で好きになった女だったから喜ぶ顔が見たくて、

誰よりも幸せになってもらいたくて、


あいつの気持ちを最優先にしてきたつもり。精一杯、男友達を演じた。


なのに


「フラれちゃった…」


何やってんだよ、ばか。

ほんとは俺にしとけって言ってやりたかった。


でも


ただそばに居ようって思った。

今まで積み重ねてきた関係を壊すのが怖かったのかもしれねーけど。




あいつの誕生日の前日?だったけな。


ヒロが珍しく話があるとか言ってきて。

「何?珍しいじゃん」

「瞬さん…」ヒロは言いにくそうに頭をかく。

「なんだよ」

「僕…心菜さんのこと気になるんです」


は?

「でもお前フっただろ?」

大人げなく強めに聞いてしまった。

「そうなんですけど…後で考えたらもったいないって」


…もったいない?

ふざけんな。


お前のせいで あいつ泣いてたじゃん。


「勝手にしろよ。つーか何で俺に言うんだよ」冷たくそう言ってその場を離れた。


もしかしたら ヒロにも俺の気持ち バレてたのかもな。
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