お前のために歌うから。
里緒ちゃんは大きな家に入って行った。


「瞬、何なの?」

彼の顔を覗き込んで聞いてみる。



「あのさ、里緒ちゃんの別荘にスキー場があるらしいんだけど来ない?って」
ほら、と瞬が4枚のチケットを渡してくれる。


「な、なるほど。行きたい!」


「だろ?2日ぐらいだったら俺もスケジュール調整出来るし」



それもそうだけど、あたしがもっと気になってるのは…!


「ね、何で あの子の家知ってるの?」

「あー、ナビに登録してもらったから」とカーナビを見てあっさり答えられた。


「え、じゃあ あんな親しげにしてるのは?」

「後輩だしな。Avidみんな仲良いし…って心菜さん、何嫉妬してんだよ」と呆れた顔で笑われる。


「嫉妬してないっ!ただ気になっただけ!」


何か…あの子が瞬見る目が乙女だったっていうか。

何か違和感を感じて…。
まぁ、女の勘ってやつ。


「俺のタイプじゃねーから安心すれば?」

「ほんとに!?」瞬は笑いながら頷いてくれた。


それだけの言葉で安心して、さっきまでのモヤモヤが飛び去ってしまった。

ほんと あたしって単純…。


「あ、そーだ。あたし達が付き合ってるって言ったの?」

「彼女いるとは言ったけど、お前とは言ってねーよ」

「それの方が良いよ!事務所やマスコミに言われちゃったら大変だもん…」

あの子なら何かしでかしてもおかしくはない。

「お前なー、疑いすぎ」

瞬はケラケラ笑うけど あたしは眉間にシワを寄せて考える。
< 49 / 59 >

この作品をシェア

pagetop