お前のために歌うから。
「何するー?」と茜とスキーウェアを選ぶ。

色も種類も いっぱいあって迷う~。


結局、無難な薄いピンクのスキーウェアにした。


「瞬さん~、あたしスキー下手くそなんで教えて下さい」

耳に入ってきたのは里緒ちゃんの甘い声。


「ん、いーよ」

「えっ!?」思わず2人の方を見てしまう。


ちょっと瞬!
あたしだって…一緒に滑りたかったのにな~。


がっかりして肩を落とす。


「心菜行こ」


ん?瞬の声。
確かにあたしの方を向いて言った。


えっ!でも…

「里緒ちゃんのこと教えてあげるんじゃないの?」


「や、お前も来いよ」

「行く行く!」

やった。思わず口角が緩む。


ゲレンデに立つとテンションが上がり、そわそわしてしまう。久しぶりだな~、この感じ!


でも…

「きゃっ」里緒ちゃんが転けそうになり瞬に抱きつく。


それを冷めた目で見るあたし。


今の計算だろって思った自分は相当歪んでるのかな…


いや、でも これでもかというくらい瞬にベタベタしている。


瞬も瞬だよ。まんざらでもなさそう。


しばらく滑っていると、すっかりコツを思い出し楽しくなってきた。

もっと高くから滑りたいな…。

沢山の人が行き交うリフトを見つめる。


「もー、全然滑れない~」

里緒ちゃんは、なかなか上達しない。


「大丈夫?」相変わらず優しい瞬。



すると翔太くんと茜を見つけた。


「あれ?茜、翔太くんと一緒にいたの?」

「誘われちゃったんだ~」と嬉しそうに言う茜。
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