お前のために歌うから。

でも…あたしの中では暫く茜の言葉が響いていた。



─瞬との方がいい?


そんなこと考えたこともなかったから。


私と瞬とは何もかもが違いすぎる、うん。


きっと自分が傷つかないように勝手に線引いてたんだなーと少し思った。


でも私が好きなのはヒロくんだしっ…


「僕 帰ります」とヒロくんが立つ。

「明日 レコーディングあるもんな」と翔太くんが言う。

「んじゃ これ食ったら解散ってことで」


嘘。今 何時?と思い時計を見るともう10時を過ぎていて。


門限は10時。やば…!咄嗟に瞬の方を見る。


「送るわ」と言ってくれたのでほっと安心して頷いた。


茜を見ると にやにやして此方を見ていて。

私は眉を潜めて睨む。

いきなり立ったと思えば、

「わたし親が迎えにきてくれるので先帰りますね~」とか言い出した。

あたしの耳元で「頑張ってね!」と告げ。


頑張るって何を??茜が考えてることが大体分かり、はあ…と大きく溜め息を付く。
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