最も危険な  ルームシェア
俺のショックはかなりのものになった。

すでに過去になったとは言え

彼女が結婚していた事実を知り

しばらくは何も考えられない有り様だ。

「それでは私は失礼させていただきます。」

「あぁ、気をつけて。」

俺が言えたのはそれだけだった。

もっと気の利いたことを言え。

きっと後悔するぞ。

俺は頭ではわかっていたものの声にならなかった。

「いつもありがとうございます。失礼いたします。」

彼女は軽く会釈をして去った。

俺は呆然とその後ろ姿を見送った。

そしてこのやりきれない思いの持って行き場がないことに

胸の奥が傷んだ。

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