最も危険な　　ルームシェア
「ゆずる？いる？」

玄関から男性の声がした。

リビングのガラス扉が開いた。

私は目を疑った。

入ってきたのは今朝会った取引先の津田さんだった。

「津田さん？」

「木村、いや仁科さん？」

私たちは驚いてお互いに顔を見合わせた。

滝野さんが言った。

「真司。来るなら先にメールしろよ。」

「したよ。今日行くって。」

「悪い。見てなかった。」

私は滝野さんが津田さんを名前で呼ぶことに驚いた。

「家でも仕事するのか？彼女と？」

「いや、親父に友里はダメだと言われた。」

「それで彼女に貸したのか？」

「そうだ。何かあるのか？」

「いや、俺は別に何も。」

「友里を送ってくるよ。」

滝野さんはそばにべったりと張り付いた妹の背中を軽く押しながら玄関へ向かった。

「滝野さん！」

私はどういうことなのかさっぱりわからず

二人の後を追った。

「仁科、悪いが話しは後でする。」

行ってしまった。

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