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「こんばんは。」

玄関から女性の声がした。

「ゆずるさん?」

私はリビングに入ってきた美人に圧倒された。

津田さんといい滝野さんといい

妹の友里さんといい美形ばかりだ。

「滝野さんでしたら妹さんを送って行きました。」

「あら、行き違いだったのね。」

「失礼ですが、どちらさまでしょうか?」

「私は深沢律と申します。ゆずるさんのフィアンセですわ。」

「仁科まゆと申します。滝野さんと同じ会社の者です。」

「少し待たせていただいてもよろしいかしら?」

「どうぞ。」

「初対面で恐縮ですけど、良い機会なので二三お聞きしてもいいかしら?」

「何でしょうか?」

「ゆずるさんは会社ではどんなかしら?優秀に思えます?」

私は相手が滝野さんのフィアンセとわかっていて

悪口を言うつもりはないし

かといって良いことばかりでも変だし

思うままを言えばいいだろうか。

「滝野さんは白黒はっきりした人だと思います。」

「それは私もわかっていることです。」

「無駄なことは一切せず何事にも効率性を重視します。」

「仕事は順調のようですね。」

「はい。指導は厳しくフォローも完璧で滝野さんは顧客の信頼度が高い営業マンだと思います。」

「そんなにほめなくてもよろしいのよ。」

彼女はまんざらでもないようだ。

私は本当に思うことを言っただけだ。

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