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津田さんが両手に荷物を抱えて戻った。

「お律じゃないか。ゆずるは今いないよ。」

「真司さん。お久しぶりです。」

「相変わらずの女っぷりだな。」

「お上手ばっかりね。」

「珍しいな、ここに来るとは。」

「相談があって。メールでなく直接聞きたかったのよ。」

「俺は部屋を片付ける。まゆ、手伝って。」

「は、はい。」

私は津田さんにいきなり呼ばれて戸惑った。

彼の部屋へ向かった。

さっきは手伝うなと言われ

急にどうしたのだろう。

津田さんは私が入っていくとドアを閉めた。

「津田さん、さっきは手伝わなくていいと言ってましたよね?」

「しっ!静かに。」

彼は人差し指を口に当てて言った。

「はっ?」

私はわけがわからなかった。

「鈍いな、君は。」

そう言われて私は眉をしかめた。

「ゆずるが車を停めていたからもうすぐ上がって来る。二人だけにしてやろうと思って。」

「お優しいんですね。」

「まっ、俺はごくシンプルな男だからな。」

「単純と言う意味ですか?」

「そんなにはっきり言うなよ。」

二人で笑った。

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