最も危険な  ルームシェア
最近滝野さんと話す機会が減り

私は何かが足りないような感じがした。

以前は毎朝デスクでミーティングがあり

彼の的確な指示と

そばで耳にする静かな声を聞かない日はなかったからだ。

今は週の半分は不在だった。

たまに社内で見かけても誰かと話していることが多かった。

家に帰っても彼がリビングにいることはないし

朝も顔を見たことがなかった。

滝野さんが忙しいのはわかっていた。

リビングで熱い烏龍茶を飲んでいたら

真司さんが帰ってきた。

「ただいま。」

「お疲れさまです。」

「まゆだけ?ゆずるは?」

「まだです。」

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