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「最近遅いよな。」

「そうですね。」

真司さんは私の口調が暗いのに気付いた。

「どうかした?」

「滝野さんのことが気になって。」

「社内で会うだろ?」

「でも以前ほど接点ないので。」

「ゆずるの何がどう気になる?」

真司さんは上着を脱いでネクタイを緩めながら

冷蔵庫から炭酸水のビンを持ってきた。

「真司さん、炭酸好きですね?」

「疲れに効くんだ。」

「ホント?」

「たぶんね。」

と彼はおどけた言い方をして私を笑わせた。

「もぉ、真司さんたら、可笑しいんだから。」

「ゆずるはお律の機嫌を損ねたんだよ。」

「この間の言い合いですか?」

「うん。」

「仲直りしないんでしょうか?」

「プライベートなことだからあまり言いたくないけど。」

そう言って真司さんは話してくれた。

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