最も危険な  ルームシェア
「婚約破棄は経歴にキズはつかないが、離婚は男にとって人生の汚点になる。まゆ、してやったな。」

真司さんはそれも面白がっていた。

「そういうことになるんでしょうか?」

私は予告なしに家を出てきたので

優磨がどう思ったかは知ることができなかった。

「仁科に頼みたいことがあるんだ。」

私は滝野さんの頼みなら何でも引き受けるつもりだった。

それほど彼に惹かれていた。

北城さんはリビングに来てからずっと私を見つめていた。

私が滝野さんに好意を抱いていることに気づいているかもしれない。

改めて緊張してきた。

「何でしょうか?」

律さんが出席するパーティーに私が紛れ込んで優磨に接触してほしいと言われた。

「場違いにならないでしょうか?」

私はそんな大胆な行動はしたことがなく不安だった。

「まゆさんは私が引率するので大丈夫です。」

北城さんが出席するのは問題ないらしく

今までもレセプションやイベントに出向かれたようだ。

「それで何をすればいいんですか?」

最も重要な私の役割は何だろう?

滝野さんが説明した。

「彼の近くに行って話があると言うんだ。会場内でいいから他の客に聞こえないよう少し離れた場所に来させる。」

「はい。」

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