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「深沢財閥は気に入った?」

私の言葉に優磨は眉をひそめた。

「何が言いたい?」

彼が声をひそめると心臓によくない。

私は身が縮まる思いで言い返した。

「話があるの。」

「外に出よう。」

二人で廊下へ出た。

ダークグリーンの分厚い絨毯にヒールが埋まった。

「俺にもプライドはある。」

優磨はそう言って目を細めた。

「そうなの?」

「彼女はそこらの女と違う。」

「どう違うの?」

「性悪女。」

「はっ?」

「悪意を感じる。」

「そうなの?優磨が変わったんじゃない?」

「俺は変わってない。」

私は話がややこしくなってきたような気がした。

「まゆ。」

「はい?」

「どうして黙って出て行ったんだ?」

「それは優磨に原因があると思うけど。」

「俺がそういう男だとわかってて結婚したんだろ?」

「そうだけど。」

「律とは何でもない。単なるはけ口だ。誤解しないでもらいたい。」

「そう。」

私は返事に力が入らず

何のためにここにいるのかわからなくなってきた。

「まゆ。」

優磨はいきなり私にキスをした。

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