even if
――あなたを推薦した校長もただではすまないでしょう――

ふと教頭の冷たい言葉が頭をよぎった。


白髪頭を撫でながら結構結構、と笑う校長先生の顔が浮かんだ。


――将来ある若者が、これではかわいそうだ――


渋谷くんの将来。
医大に進んで、お医者さんになるという、渋谷くんの真っ直ぐな道。

私が…それを邪魔してしまうの?


――このような噂が広まったら、あなたも相手の生徒も、ここにはいられなくなることをお忘れなく――


高校生の噂話はあっという間に広がる。

もし噂が広まったら、渋谷くんが、ここにはいられなくなる?
それは、退学処分ということだろうか。


『それは…だめ』


私は頭を抱え込んだ。


どうしたらいいの?



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