even if
『ななちゃん先生!!』


休み時間に、飛び込んできたのは、遠藤くんや濱田くんたちラグビー部の生徒たちだった。

『な、なに!?』

すごい剣幕で入ってきたから、誰か怪我でもしたのか、と身構える。


『ななちゃん先生!!桜井と結婚するって本当!!』


『はぁぁぁぁ?』

『ね、どうなのっ?本当なのっ?』

すがりつくように私を見るラグビー部の生徒たちは、なんだか少し怖い…。

『しません』

私は笑い出した。
桜井先生と私が結婚するなんてありえない。

『本当に本当?』

『本当。どうしてそうなるの?』

あー、お腹痛い。
笑い転げる私を見て、遠藤くんたちは、なんだ、と笑う。

『そっか。ただの噂か』

『噂ってなに?』

『ななちゃん先生と桜井が二人でいるところ見た、ってやつがいて、そこから二人は付き合ってるとか、結婚するとか言い出すやつが出てきたから、そんなはずねぇって確認しに来た』

高校生の噂は本当にあっという間に広がる。
尾ひれをつけて。

『しないよ。つき合ってもないし』

『だよな。俺は最初からそうだと思ったぜ』

俺もだ、俺だってそうだ、と言いながら、遠藤くんたちは帰って行った。


二人でいるところを誰かに見られたのか。
それは、たぶん飲みに行ったときだろう。

それにしても、結婚って…。
するわけないじゃん。
ありえない。


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