even if
屋上でしばらく日向ぼっこをしていた。

早く戻らなきゃ、と思うけど、体が動かない。

デスクの引き出しに眠る山積みの書類。
提出期限はいつだったかな…。

『ふわぁぁぁ』

あくびをして、目尻の涙をごしごしとふくと立ち上がった。

生徒が待ってるかもしれない。





シーツと布団を抱えて保健室に戻ってきたら、保健室の前に人がたっていた。


生徒じゃない。
どう見ても、中年の男性。


保険関係の人かな。アポなんてあったっけ?


『…あの…なにか?』

抱えた布団から顔を出して声をかけると、男性が振り返って、

『あ、平井先生ですか?私、渋谷の父です』

とにっこり笑う。


渋谷くんのおとうさん?
どうしてここに?


私は慌ててドアを開けた。




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