even if
『…だから、偶然に…』

どうして、そんなに心配そうな顔をしているの?
もう、意味わかんない…。


『っな!ふざけないでよ!!偶然なわけないでしょ!?もうなによ…なんで…なんでいるのよ。なんで…ここにいるのよ。早く松原さんのところに帰りなさいよ!!』


一気にそう言って、渋谷くんを思いきりにらみつけた。

よく見ると、渋谷くんのおでこにはうっすら汗が光っている。
吐く息はこんなに白いのに。
空には、はらはらと白い雪が舞っているのに。


好きでもない女を、どうしてそんなに走っておいかけてくるの?


悲しさなのか、悔しさなのか、怒りなのかわからないけど、まだいい足りない。


『松原さんが待ってるんでしょ?今日は泊まるんでしょ?どうでもいいけど、避妊しなさいよっ』


どうしてこんなことを言わなければならないのだ。
それは、私が先生だから。
だから…。


『手を離してよっ。私にさわらないでっ。話しかけないで。もう本当に嫌なの…。ほっておいて。中途半端に優しくしないで!だいっきらい!渋谷くんなんか、だいっきらい!』


これ以上、私に期待させないで。
私を…かきまわさないで。




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