even if
『だから、クリスマスにどうとか、あれ全部うそ。ななちゃん先生が碧のことどう思ってるかわからなかったから、あんなこと言って反応を見てたの』


そう…だったのか…。
あれは…嘘だった。
嘘だったなんて…。


『ななちゃん先生、プロだよね。私、全然気づかなかった。ななちゃん先生、保健室では完璧だった。だけど、クリスマスの日に偶然会ったでしょ?あの時、分かったの。ななちゃん先生の気持ち…』


保健室では完璧だった。
その言葉が胸をしめつける。


『あの後、碧すごい勢いでななちゃん先生追いかけて行っちゃって…。連絡しても無視だし。もうダメかな、って思ってたら、戻ってきたの。なんか…ボロボロになって。泣きそうな顔して。だからね、その時に一度だけね、キスしたよ。てか唇奪ってやった、って感じだけど』


それくらいいいでしょ?
松原さんは笑う。


『クリスマスの二人を見て、碧を解放してあげようと思ったのに、碧がもういい、とか言うからさ…なにがあったか聞いても答えてくれないし』


クリスマスの日。
私は、渋谷くんにたくさんひどいことを言った。


――中途半端に優しくしないで。
私に関わらないで。
渋谷くんなんてだいっきらい――


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