even if
ふと、目を覚ますと、碧くんの腕の中だった。

そっと顔をあげると、碧くんも寝ている。
そのきれいな寝顔を見ていたら、キスをしたくなった。

そっとそっと、起こさないように…。

『…ん…ななちゃん?』

『…ごめん。起こしちゃった…』

『いいよ。もっとしてよ』

私の唇に優しく唇がおりてくる。


―五時のチャイムがなりました。小中学生のみなさんは、気をつけておうちに帰りましょう―


外からそんな放送が聞こえてきた。

『五時か…』

碧くんが呟く。

『お腹すいたー』

『そう言えば、お昼食べてないね。ななちゃんを食べたけど』

『…なっ、その言い方!!』

碧くんはおかしそうにくすくすと笑った。

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