even if


『一緒に風呂はいろっか』

おにぎりのゴミを袋に入れながら、碧くんがなんてことないみたいに言うから、

『うん。入ろ』

私もこれまたなんてことないみたいに返事をした。

でも、いざ裸になろうとした時、これはちょっと無理だな、と思い直す。

『ごめん。先に入って。私、あとでいいや』

『…なんでだよ』

碧くんが服を脱ぎながら、すねた顔をする。

『だって…恥ずかしいじゃん』

『でも…離れたらさみしいじゃん』

そう返されて、私は一瞬考えた。
あぁ、違う。
考えた振りをした。

『それもそうね』


ぶかぶかのTシャツを脱ぐと、思いきって湯船に浸かる。

湯船はうちよりは大きいけど、二人で入るには小さかった。

私は三角座りをして、碧くんに背を向ける。

ちゃぷ、とお湯がゆれて、碧くんが、私の背中に甘えるようにおでこをのせてもたれた。

しばらくそうしたあと、もう一度お湯がちゃぷ、と揺れたかと思ったら、ギュッと後ろから抱き締められる。

そのまま、うなじにキスをされて、私は体を震わせて笑う。

『…こそばい。…やめて』

『やめない』

碧くんの唇が私の背中や肩甲骨をなぞる。

お湯の中で私はくすくすと笑いながら、身をよじる。


『…やめてってば…』

『じゃあ、出よ?』


え…?
まだ体洗ってないよ…?


碧くんは、ザバーッと先にお湯から上がると、私をひょい、と抱え上げて、そのままベッドに連れていこうとする。


『わぁ!ち、ちょっと、ちょっと待って!びしょびしょだよ!!タオル、タオル!!』

私が騒ぐと、碧くんは、そかそか、と軽く笑いながらバスタオルで私をくるんで、もう一度ひょい、と抱き上げた。


そのまま、やっぱり、ベッドに運ばれる。
私が、わぁわぁ、きゃあきゃあ叫ぶと、碧くんは楽しそうに笑った。



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