even if
カタカタカタカタカタカタ…
今日はお客さんが少ない。
体育の時間に擦り傷をした生徒がいただけ。
おかげで資料作りはずいぶんと進んだ。
あと少しで完成、という時にはなって、ノックもなくドアが開いた。
『ノックしなさいって…』
言いながら、ドアを見た私の手から、資料がするり、と落ちた。
『ななちゃん、髪切ったよ』
そこにいたのは、渋谷くんだった。
いや、渋谷くんなのは、分かっていた。
ノックをせずに保健室に入ってくるのは、彼だけだから。
渋谷くんだけど、渋谷くんじゃなかった。
長かった前髪はすっかり短くなっていて、束感のある髪は無造作に散らされている。
髪色も前から茶色かったけど、また少し明るくなったみたい。
前まで前髪で半分隠れていた、猫みたいな形の瞳が、今はまっすぐに私をみている。
目力(めぢから)はんぱねぇぇぇ!
ヤバいヤバい!
あぁ、ごめんね。綾部さん。
これは確かにヤバいとしか表現できないね。
『……あー、そう』
正直、こんなに短くするとは思っていなかったし、こんなにショートが似合うとも思っていなかったから、どう答えていいかわからなかった。
今日はお客さんが少ない。
体育の時間に擦り傷をした生徒がいただけ。
おかげで資料作りはずいぶんと進んだ。
あと少しで完成、という時にはなって、ノックもなくドアが開いた。
『ノックしなさいって…』
言いながら、ドアを見た私の手から、資料がするり、と落ちた。
『ななちゃん、髪切ったよ』
そこにいたのは、渋谷くんだった。
いや、渋谷くんなのは、分かっていた。
ノックをせずに保健室に入ってくるのは、彼だけだから。
渋谷くんだけど、渋谷くんじゃなかった。
長かった前髪はすっかり短くなっていて、束感のある髪は無造作に散らされている。
髪色も前から茶色かったけど、また少し明るくなったみたい。
前まで前髪で半分隠れていた、猫みたいな形の瞳が、今はまっすぐに私をみている。
目力(めぢから)はんぱねぇぇぇ!
ヤバいヤバい!
あぁ、ごめんね。綾部さん。
これは確かにヤバいとしか表現できないね。
『……あー、そう』
正直、こんなに短くするとは思っていなかったし、こんなにショートが似合うとも思っていなかったから、どう答えていいかわからなかった。