even if
four seasons
ぶかぶかのTシャツを頭からかぶって、もう一度碧くんの腕の中に潜り込んだ。
『…引越しはいつ?』
部屋のすみに置いてある、荷造り途中のの段ボールを横目で見ながら、私は聞く。
段ボールには働き者の蟻のイラストが載ってある。
『…来週』
碧くんが、私を抱き寄せる。
『そっか。九州、だよね…』
『うん』
しばらく黙って、碧くんの心臓の音を聞いていた。
Tシャツごしの碧くんの体温。
ダウンライトだけつけた部屋は、薄暗くて静かだ。
『…俺、就職したいって言った時があっただろ?』
私の髪を撫でていた碧くんが、急に真面目な声で話し出す。
『…あったね』
『俺さ、早く社会人になりたかったんだよ。社会人になったら、堂々とななちゃんのそばにいられるのかな、って』
だから、就職したい、って言ってのか…。
私の…そばにいるために。
『本当は医者になりたいくせに、学生やるのが嫌だ、とかこどもみたいなこと言ってさ』
『その理由を聞いたら、布団かぶっちゃったのよね。あのとき、グーで思いっきり殴ってごめんね』
思い出すと、つい頬がゆるむ。
あれが、初めての喧嘩だったね。
『…引越しはいつ?』
部屋のすみに置いてある、荷造り途中のの段ボールを横目で見ながら、私は聞く。
段ボールには働き者の蟻のイラストが載ってある。
『…来週』
碧くんが、私を抱き寄せる。
『そっか。九州、だよね…』
『うん』
しばらく黙って、碧くんの心臓の音を聞いていた。
Tシャツごしの碧くんの体温。
ダウンライトだけつけた部屋は、薄暗くて静かだ。
『…俺、就職したいって言った時があっただろ?』
私の髪を撫でていた碧くんが、急に真面目な声で話し出す。
『…あったね』
『俺さ、早く社会人になりたかったんだよ。社会人になったら、堂々とななちゃんのそばにいられるのかな、って』
だから、就職したい、って言ってのか…。
私の…そばにいるために。
『本当は医者になりたいくせに、学生やるのが嫌だ、とかこどもみたいなこと言ってさ』
『その理由を聞いたら、布団かぶっちゃったのよね。あのとき、グーで思いっきり殴ってごめんね』
思い出すと、つい頬がゆるむ。
あれが、初めての喧嘩だったね。