even if

真っ暗な部屋の中は、ほんのりと暖かかく、春の気配を感じた。


もうすぐ、冬から春になる。



冬から春へ。
春から夏へ。
夏から秋へ。
秋から冬へ。


そうやって、季節はどんどん変わる。



碧くんの気持ちを信じられないわけじゃない。


碧くんは今、本気で私を迎えにくるつもりでいるのだろう。


だけど
人の気持ちは変わる。
季節がゆっくりいつの間にか変わっていくように。

碧くんの気持ちも、私の気持ちも。



だから

私は責めたりしない。


碧くんの気持ちが変わっても。
6年後、迎えになど来なくても。


あなたを責めたりしない。


それは、季節が移ろうのと同じで、自然なことだから。
それは悲しいことではないはずだから。



だから、どうか元気で。



さようなら
碧くん


さようなら
私のだいすきなひと



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