even if
お会計をするときになって、

『今日は平井先生の歓迎会ですから、俺が出します』

桜井先生にぐいぐいとお店の外に押し出されてしまった。

『えっ、あの…そんな…私出します』

お財布を持ったままオロオロしていると、パッと財布を取り上げられ、そのまま私のバッグに押し込まれる。

『じゃあ、次回お願いします』

桜井先生は、笑ってそう言うと、タクシーを止めるため、車道に向かって歩いていった。

タクシーが止まると、私を先に乗せて、
『俺、電車なんで』
という桜井先生に、
『あの…今日はご馳走さまでした』

ペコリとおじきをする。
桜井先生は笑って、

『おやすみなさい。平井先生、また明日』

ペコリとおじぎをしてくれた。


静かに走り出したタクシーの車内で、ゆったりとシートに身を預けると、大きなあくびが出る。
スマホを見ると、もう11時だった。
帰ってシャワー浴びたらすぐに寝ちゃうな、と思った。
そして、それは本当にその通りになった。


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