even if
何か食べさせないといけないな。

『開けるね』
心の中で呟いて、キッチンの小さな冷蔵庫を開けると、ジュース類と調味料しか入ってなかった。

ほんと、毎日なに食べてるんだろ…。
こんな食生活してたら、そりゃ風邪もひくわ。

呆れながら、冷蔵庫を閉めた。

お米だけはあったので、小さい片手鍋でおかゆを炊いた。
卵を入れたかったけど、ないから仕方ない。

時計を見たら、1時間以上、寝ている。

ベッドに近づいて、おでこに手を当てると、まだかなり熱い。

そのまま、頭を撫でていると、渋谷くんがゆっくりと目を開けて私を見た。

『…ななちゃん』

かすれた声で渋谷くんが私を呼んだ。

胸が…痛い。

『さむ…』

渋谷くんが、ブルッと身を震わせた。

『毛布とかある?』

キョロキョロしながら、立ち上がろうとしたら、

『ない』

渋谷くんが、とろんとした目で、そう言うと、いきなり私の腕をひいて布団に引きずり込んだ。

『う、うわっ!や、やめてよ』

バタバタと抵抗したら、

『冷たい風が入るから、暴れないで』

嫌そうに言われてしまった。

渋谷くんは、抱き枕みたいに私をギュッと抱き締めると、

『あったかい…』

とかすれた声で言った。

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