even if
くらり、と軽い目眩がした。

『あ、昼休み終わりだ』

生徒たちがバタバタと出ていく。

『ななちゃん先生、ばいばい』

生徒たちが出ていくと、いつも渋谷くんが寝ているベッドに横になった。

布団から、かすかに渋谷くんの匂いがした。

理由。
理由がいるんだ。

こんな気持ちになる理由が。

渋谷くんがいないことを、寂しいと思う理由が。

先生として、最もな理由が。

真っ白な天上を見上げた。
渋谷くんがいつも、見ている景色。
真っ白なベッド
真っ白なカーテン
真っ白な天上

真っ白な世界。

渋谷くんも、松原さんも、きっとまだこういう世界を生きてるんだ。

羨ましいな。



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