even if
二年生が修学旅行から帰ってきた。
昼休みの保健室は、いつもに増して、賑やかになった。
『ななちゃん先生、これお土産。クラスの何人かで買ってきた』
差し出された袋には、マーライオンのイラストが載っている。
『シンガポール、どうだった?』
『思ってたより、マーライオンがしょぼかった』
生徒たちは、その時の衝撃を思い出したのか、くすくすと笑う。
『シンガポール・フライヤーはよかったよ』
『マリンライフパークも。見てこれ』
デジカメを差し出される。
大きな水槽の前で、笑う生徒たちが写っている。
『うわぁ、水族館なんだ。きれい』
『世界最大の水族館なんだって』
『へぇ…いいなぁ。シンガポール。行きたかった』
『うんうん、一緒に行きたかったねぇ』
女子生徒が慰めるように、私の肩を抱いた。
どっちが生徒だかわからない。
『お土産、見てもいい?』
袋をのぞくと、マーライオンの形をしたクッキー、マンゴーのタルト、それにマーライオンのボールペンが入っていた。
『うわぁ、こんなにたくさん。ありがとう』
『ななちゃん先生にお土産買うって言ったら、他の子たちも買うって言うから、じゃあみんなで買おっかって』
『本当?嬉しいな』
マーライオンの姿をしたボールペンをしげしげと眺める。
『たぶん書きにくいけど、そんな形だから。でもかわいいでしょ』
『うん。すっごくかわいい』
もったいなくて使えない。
大切にしよう。
生徒たちからのお土産。
『あ、そろそろチャイムなるね』
私がそう言うと、生徒たちは一斉にぞろぞろと保健室を出ていった。
笑顔で手を振りながら。
昼休みの保健室は、いつもに増して、賑やかになった。
『ななちゃん先生、これお土産。クラスの何人かで買ってきた』
差し出された袋には、マーライオンのイラストが載っている。
『シンガポール、どうだった?』
『思ってたより、マーライオンがしょぼかった』
生徒たちは、その時の衝撃を思い出したのか、くすくすと笑う。
『シンガポール・フライヤーはよかったよ』
『マリンライフパークも。見てこれ』
デジカメを差し出される。
大きな水槽の前で、笑う生徒たちが写っている。
『うわぁ、水族館なんだ。きれい』
『世界最大の水族館なんだって』
『へぇ…いいなぁ。シンガポール。行きたかった』
『うんうん、一緒に行きたかったねぇ』
女子生徒が慰めるように、私の肩を抱いた。
どっちが生徒だかわからない。
『お土産、見てもいい?』
袋をのぞくと、マーライオンの形をしたクッキー、マンゴーのタルト、それにマーライオンのボールペンが入っていた。
『うわぁ、こんなにたくさん。ありがとう』
『ななちゃん先生にお土産買うって言ったら、他の子たちも買うって言うから、じゃあみんなで買おっかって』
『本当?嬉しいな』
マーライオンの姿をしたボールペンをしげしげと眺める。
『たぶん書きにくいけど、そんな形だから。でもかわいいでしょ』
『うん。すっごくかわいい』
もったいなくて使えない。
大切にしよう。
生徒たちからのお土産。
『あ、そろそろチャイムなるね』
私がそう言うと、生徒たちは一斉にぞろぞろと保健室を出ていった。
笑顔で手を振りながら。