even if
顔が赤くなるのが、自分でも分かった。

その時、カーテンがシャッと開いて、渋谷くんが出てきた。

『お前ら、ななちゃん先生、いじめすぎ』

そう言う渋谷くんも、笑いをこらえている。

ひどい…。

『あっ、碧また保健室にいたのかよ!!』

『お前、ななちゃん先生になんかしてないだろうな!?』

遠藤くんと濱田くんが、そう言うと、渋谷くんは、ニヤリと笑った。


『するかよ。てか、なんかしてたのは、むしろお前らの方だろ』


『俺たちはななちゃん先生との親睦と絆を深めていただけだー!』

騒ぐ遠藤くんたちを、はいはい、となだめながら、渋谷くんたちは出ていった。

ドアがパタンとしまって、三人の声が遠ざかると、はぁ、と息を吐き出した。

『最近、キスしたのいつ?』

昨日です、とはとても言えない。
ましてや、相手はそこで寝てる生徒だなんて。


気持ちを切り替えようと、渋谷くんの寝ていたベッドを直した。
お日様の匂いにまじって、かすかに渋谷くんの匂いがした。


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