even if
シーツを取り込んで、保健室まで戻った。
渋谷くんは布団を運んでくれて、
『さっそく寝よう』
と嬉しそうだった。
『よく寝るよね』
半ばあきれて言うと、
『ななちゃんだって、こないだ寝てたじゃん』
こないだ…。
渋谷くんの腕の中でまどろんだことを思い出して、シーツに顔をうずめた。
太陽の匂いがする。
渋谷くんが、私を見てくすくすと笑うのが分かった。
『あっ、碧いたー!!』
保健室の前で大声を出したのは、松原さんだった。
その声を聞いた途端、渋谷くんは足を止めて、方向転換をしようとしたけど、布団を抱えてたせいで逃げ遅れた。
『碧ー!』
松原さんは嬉しそうに、渋谷くんの背中にしがみつく。
『…なんだよ』
ため息とともに、渋谷くんは心底うんざりといった顔をしたけど、はた目から見ていると、ものすごく…
お似合いだと思った。
悲しいほどに。
『今日、一緒に帰ろうよー』
『無理』
『いいじゃん、帰ろうよー』
『ななちゃん先生、ごめん、ドアあけて』
松原さんを完全に無視して、渋谷くんは私を振り返る。
松原さんが、ほんの一瞬だけ、泣きそうな顔になるのを、私は見た。
『あーおーいー!!』
すぐに松原さんはふざけた声を出して、プッとふくれてみせると、
『もういいわ。ばーか!』
校舎に向かって乱暴に歩いていってしまった。
『…いいの?』
渋谷くんの顔を見ずに、小さな声で聞いた。
『いいよ、別に』
『よくないよ!』
シーツを抱えたまま、私は走り出した。
渋谷くんは布団を運んでくれて、
『さっそく寝よう』
と嬉しそうだった。
『よく寝るよね』
半ばあきれて言うと、
『ななちゃんだって、こないだ寝てたじゃん』
こないだ…。
渋谷くんの腕の中でまどろんだことを思い出して、シーツに顔をうずめた。
太陽の匂いがする。
渋谷くんが、私を見てくすくすと笑うのが分かった。
『あっ、碧いたー!!』
保健室の前で大声を出したのは、松原さんだった。
その声を聞いた途端、渋谷くんは足を止めて、方向転換をしようとしたけど、布団を抱えてたせいで逃げ遅れた。
『碧ー!』
松原さんは嬉しそうに、渋谷くんの背中にしがみつく。
『…なんだよ』
ため息とともに、渋谷くんは心底うんざりといった顔をしたけど、はた目から見ていると、ものすごく…
お似合いだと思った。
悲しいほどに。
『今日、一緒に帰ろうよー』
『無理』
『いいじゃん、帰ろうよー』
『ななちゃん先生、ごめん、ドアあけて』
松原さんを完全に無視して、渋谷くんは私を振り返る。
松原さんが、ほんの一瞬だけ、泣きそうな顔になるのを、私は見た。
『あーおーいー!!』
すぐに松原さんはふざけた声を出して、プッとふくれてみせると、
『もういいわ。ばーか!』
校舎に向かって乱暴に歩いていってしまった。
『…いいの?』
渋谷くんの顔を見ずに、小さな声で聞いた。
『いいよ、別に』
『よくないよ!』
シーツを抱えたまま、私は走り出した。