even if
8時になると、きちんと鍵をしめて外に出た。

何を着て出ようか、ちょっと悩んだけど、これは偶然なんだから、と自分に言い聞かせ、結局いつも学校に行くようなカジュアルな服を着た。

いや、むしろいつも以上にこどもっぽいかもしれない。

でも、こないだのグレイトフルデッドベアのTシャツを見られた私に、怖いものなどなにもない。



渋谷くんは、前と同じように、外階段のところに立っていた。

でも、今日は空じゃなく、階段を見ていた。
私が来ることを、確信しているように。


『うゎ、ななちゃんじゃん。本当、よく会うね』

そう言って、渋谷くんはおかしそうに笑う。

だから、私も、

『本当、偶然だね』

と笑う。
共犯者の顔で。

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