恋は盲目 Ⅱ 〜心を見せて〜
「さぁ、怪しくないかどうかなんてわか
らないですけど。それで、あの子になん
のご用ですか?もしかして仲を取り持っ
てほしいんですか⁇」
おもしれー女。
普通、会社名聞いたら食いついてくるの
にスルーかよ。
「そうなんだ。そこで何人かで合コンし
ない?」
「あなたが直接、声をかければどうです
か?」
おい…永住社の社員と合コンだぞ。
普通なら喜んで話に飛びつくのに迷惑顏
の彼女。
こいつ、全部顔に出てるの気づいている
のか⁈
接客業であり得ないだろう。
「それじゃあダメなんだよね。俺、1人
じゃ纏まるものも纏まらないと思うから
、君にも協力してほしい」
直接本人にいくか、他の女にもう一度声
をかければいいだけなのに俺、なに必死
になってるだ。
「私があなたと早希をカップルにする為
に協力しろと言う事でしょうか?」
(あははー)
マジかよ。
ここまでいってるのに靡かない女って初
めてだ。
「ごめん、少し違う。俺の友達と君の友
達の早希ちゃんをくっつけようって相談」
なぜか不思議がる彼女。
今までにいないタイプだ。
どの女も自分のことしか考えていないの
に……
やはり、この女おもしろい。
自然に笑みがでた。
「俺、仕事の途中で寄ったからあまりゆ
っくりできないんだよね。君も忙しそう
だし今日の夜、待ち合わせしない⁈」
靡かない女に言っても無理か⁈
「わかりました。20時過ぎなら大丈夫で
す」
おい、友達の為なら動くのかよ。
楽しくなりそうだ。
彼女とコンフォルトで待ち合わせの約束
をして彼女の頭をポンポンと叩き仕事に
戻った。
いくら拓海にお願いされたからと言って
も、俺は何をやってるんだ。
初対面の女なのに愛しい女を触るよう
に頭をポンポンと触るなんて、自分の行
動が信じられずに彼女に触った右手を眺
め、ギュッと握る。
この時の俺は、この女に深く関わってい
くとは思っていなかった。
ーー
ーーーーーー
コンフォルト
カウンター席でマスターの大輔さんと楽
しそうに話す彼女を見つける。
そんな顔もするんだ。
かわいいじゃん。
「大輔さん、お久しぶりです」
俺は、大学時代ここコンフォルトでバイ
トしていた。