恋は盲目 Ⅱ 〜心を見せて〜
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あの日の合コンから俺は壊れ始めた。
いや、初めて会った時から少しずつ壊れ
始めたのかもしれない。
今まで、自分勝手に喋ってる女がいいと
思っていた。ただ、同調し優しい言葉を
かけるだけでよかった。
それなのに、早希ならこう言うのにと思
ったり仕草1つにしても早希はこうする
のに‼︎
と考えることは早希のことばかりの俺…
女といても楽しくないと思うぐらいなら
女を抱ければそれでいいと思っていたの
に、女を抱いていても早希に見えてくる
ぐらい壊れてしまった。
そしてとうとう、女を抱けなくなってし
まった。
早希に会わない方がいい。
俺からは連絡しない。
決心し、しばらく会わないでいた。
やっと俺の中から早希が消え始めたのに
二週間ぶりに早希から連絡がきた。
俺の中から早希を追い出し、今までの生
活を守る為に早希を嫌いになればいい。
どうやって嫌いになるんだ。
女を嫌いになる方法がわからない。
嫌われる方法ならいくらでもある。
生まれた時から邪魔な存在だったのだか
ら…
だから、俺は笑顔で自分を隠して生きて
いた。
これからも……自分を隠して生きていく
女1人のせいで変わりはしない。
約束の時間まであと少し、駅前で女を物
色する。
いつものように視線を送り笑みを浮かべ
れば女から寄ってくる。
「ねぇ、お兄さん。一緒に飲みに行きま
せん⁈」
香水をプンプンさせて下品な女だ。
まぁ、早希に嫌われる為だけに連れてい
くのだから、この女でいいか‼︎
コンフォルトに女を連れて行くと、だい
ぶ待たせたせいか早希がイライラしてい
るのがわかった。
早希の隣に座り、女の分と一緒に飲み物
を頼む。
「俺に話ってなんだった?」
拓海達の事だとはわかっているが、惚け
るとさらにイラついていた。
「そこの女性は?」
早希が俺を睨む。
「あぁ、気にしないで‼︎ここに来る途中
、一緒に飲まないって誘われただげだか
ら飲んだら帰るよね」
早希を怒らせる為だけに連れてきたのだ
から、もう用はない。
女は、不満顔だ。
「と、友達が女の人だなんて言わなかっ
たじゃない」
聞かれなかったからわざわざ言う必要な
いだろう。
「そうだっけ…飲む以外のこと期待して
た⁈今日は、友達優先だからまた、今度
ね」
早希の口が(サ・イ・テー)と動くのが見
えた。
もうひと押しだと考え女にキスをする。
その場だけの口約束をすると女は帰って
いった。
早希から軽蔑の眼差し…
俺が望んだ結果なのに、胸が痛む。
「で、拓海と奈々ちゃんのこと?」
「そうですけど…」
ため息をつく早希。
そんな顔するなよ。
あいつのことを話せばいいんだよな。