恋は盲目 Ⅱ 〜心を見せて〜
「最近の拓海は、スマホの画面ばかり見
てるかな⁈前まで、あんなに見ることな
かったし、きっと奈々ちゃんからの連絡
でも待っているんだと思う。あいつ、今
まで固執することなくって淡白って言う
の⁈去る者追わずみたいな奴だったんだ
よね。そんな奴があんな必死な顔で追い
かけるぐらいだから、奈々ちゃんには本
気なんだと俺は思うけど、あいつ、俺と
違って愛情表現が下手なんだ。2人がう
まくいくかは、奈々ちゃん次第ってとこ
ろかな⁈」
自分で嫌われることを望んだのに、早希
を前にすると、後ろめたさからペラペラ
とじょう舌になる。
「奈々ちゃんの最近の様子はどう?」
「………………………。奈々は、悩ん
でるみたいです。2人に何かあったのは
確かなのに、相談してくれなくて。あの
子は、積極的になれる子じゃないんです
。だから、本当に藤原さんを好きなら、
幸せになってほしいから…」
言葉が詰まる早希。
本当に友達思いなんだなぁ。
早希と距離をとろうと決めたいたが、奈
々ちゃんの為に必死な早希。
本来の目的を忘れ早希を愛しく感じてし
まった。
距離をとるなんて無理だ。
彼女の側に少しでも長くいたい。
いつか、彼女に男の影がちらつく日まで
……
「じゃあ、2人の為にしばらくお互いの
友達の様子を報告し合おう。毎日は無理
だけど、そうだな、週1ぐらいここで待
ち合わせで報告会」
「メールとかじゃダメですか?」
「メールだと伝わらないことってあるだ
ろう。せっかく仲良くなったんだし、あ
いつらの為にも作戦立てやすいと思うけ
ど」
「えっ、いくら友達の為といっても女性
と会ってて彼女さん気を悪くしません
か?」
彼女なんていないけど!
「大丈夫だよ。どの子ともそんな関係じ
ゃないから」
もう、どの女とも関係が持てない。
「わかりました。飯島さんさえよければ
木曜日にこの時間で待ち合わせでいいで
す」
早希が俺を飯島さんと呼ぶと距離を置か
れているようでイラッとする。
「金森さんって他人ぽいよ。俺たちチー
ム‼︎俺のことも雅樹って呼ぶこと。それ
と、よそよそしい敬語も禁止」
「…わかったわよ。雅樹って言えばいい
んでしょう」
頬を膨らませイヤイヤ言う。
お前の怒った顔ってかわいいな。
思わず頭をなでると、頬が染まる早希。
もしかして……
「素直じゃない早希ちゃんってかわいい
な…」
言葉に出していた。