恋は盲目 Ⅱ 〜心を見せて〜

「早希は、なに怒ってるんだ?」


私が怒っている⁈

その前に今呼び捨てしましたよね。


「怒ってないけど、なぜ呼び捨てですか

?」


「俺たちは仲間。チームだろう⁈だから

呼び捨て、敬語禁止」


金森さん→早希ちゃん→早希ですか‼︎


その呼び捨ても今日まで、もう会わない

んだから気にしない…気にしない。


「別にいいけど、気安く何度も呼ばない

でよね」


フンと顔を背け、出されたビールを一気

に流し込んだ。


(ふー、美味しい)


サービスでマスターがつまみにカシュナ

ッツを出してくれた。


一つ口に頬張り、噛み潰す。

この塩加減とクリーミーさが好きだ。

自然と笑みが出ていた。


「最近の奈々ちゃんはどう?拓海の奴、

気持ち悪いぐらいに機嫌がいいんだけど

なんかあったか知ってる?」


「やっぱり、2人は上手くいっているん

だ」


「どういうこと⁈」


「明日、花火大会あるんだけど、2人で

一緒に見に行くみたい」


雅樹の表情が変わった。

なに、その顔は⁈

何か企んでるよね⁈


「へ〜、それで飲みに誘っても断ったの

か‼︎明日の飲み会は早希も参加な‼︎」


強制⁈


「場所は、花火大会の会場」


「わ、私、仕事あるし、用事あるから行

けない」


「却下。あのビル、オフィスからの下の

階って19時には閉まるだろう」


よくご存知で……


「用事もキャンセルね。本当にあるなら

だけど…」


もしかして、嘘ついてるのバレてる⁈


もう、会わないって決めたのにまた、会

うの⁈


不安とは反対にどこかウキウキする自分

がいる。


******************

花火大会当日



駅で雅樹達と待ち合わせ会場へ向かう。


2人きりじゃない事にホッとするも残念

とも思う。


会場に着くなり、場所を確保して雅樹は

2人を探しに1人行ってしまうと私は、雅

樹の同僚達と待っていた。


しばらくすると、にこやかに笑みを浮か

べて奈々の背を押しこちらに近づいてき

た。


でも、奈々と雅樹はガードレールに寄り

かかり楽しそうに会話している。


奈々は、友達なのに雅樹が自分以外の女

といると嫉妬してしまった。


(これって…)


私、雅樹のことが好き⁈

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