恋は盲目 Ⅱ 〜心を見せて〜
「藤原さんと奈々のことで大事な話があ
るの。木曜日、必ず来て」
雅樹にメールする。
気持ちを伝えることができるだろうか⁈
彼に拒絶されたら…それならば、友達の
まま側でいい。
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木曜日当日
私達2人はいつものようにカウンター席
で奈々と藤原さんのことで話し合ってい
た。
そこに何度も振動を繰り返えすスマホ。
「ねぇ、出たらいいのに‼︎さっきから同
じ子でしょう」
「いい、もう解決しているから…」
《真愛実》
スマホの画面に映る名前。
この間も彼女の名前が表示されると顔色
を変えていた雅樹。
なぜ、そんな表情をするの⁇
そんなに辛そうな顔をするぐらいなら出
ればいいのに‼︎
彼女は、あなたのなに⁇
聞きたいのに聞けないでいた。
「で、奈々ちゃんは拓海の部屋の鍵を持
っていたんだよね」
頷くことしかできない。
声を出すと余計なことを言いそうだから
…
「拓海が女を部屋に入れるなんてなかっ
た。奈々ちゃんは拓海の特別ってことだ
な」
特別⁈
鍵をもらうということはそういうことな
のだろう。
愛されている奈々が羨ましい。
私は、雅樹に愛される日が来るのだろう
か?
思いを伝えようとする相手に女の影がち
らつき、うじうじしてる私。
「今日の早希は、口数が少ないね」
「……」
「今日は、もう帰ろう」
会計を済ませた雅樹に背を押されてお店
を出た。
「………」
「それじゃ、またね」
そんなことを言ってみたけど私達はもう
会う必要があるのだろうか?
奈々と藤原さんには、もう、後押しなん
て必要ない。
雅樹とは友達のままもう会わない方がい
いのだろう。
そうすれば、会えなくても友達でいれる。
後ろ髪を引かれながら背を向け帰ろうと
歩いていくと雅樹がついてくる。
立ち止まり雅樹を見た。
「私、帰るんだけど……」
「もう少し一緒にいたい」
なぜ、そんなに辛らそうな目をしている
の⁈
思わず自分から抱きしめていた。
彼から香るほのかに甘い香り。
大好きな雅樹の香り。
雅樹の頬を手で包み触れるだけのキスを
する。
離れる唇を追いかけてくる雅樹の唇。
頭部を固定され、貪るように荒々しく深
くなっていくキス。