恋は盲目 Ⅱ 〜心を見せて〜
「もう、びっくりしたわよ」
「ごめんって。こんなに広いのに奈々に
会えて嬉しかったんだもん」
「そうだね、でも、なんで飯島さんとい
るの⁈聞いてないんだけど」
「だって、急に決まっし……」
いい訳も出てこないなんてやっぱり酔っ
てるな!
俺以外の前で酔ってるなよ。
危ないだろうが…俺がいなかったらどう
なってるんだ。
花火が終わり、拓海達はいつの間にか消
えていた。
まだ、飲み足りないと言う早希と2人で
コンフォルトに来ていた。
何度も鳴るスマホ。
その度に席を外す。
電話の主のほとんどが週末になると、連
絡をとってくる今迄遊んできた女達。
だが、最近よくかかってくる女。
《真愛実》
またか‼︎
早希から離れ電話に出る。
「やっと、出てくれた。ねぇ、会ってほ
しいの」
「ハァー、無理だって…今さら会って何
になるんだ」
「後悔するわよ」
「しねーよ」
電話を切り早希の元へ戻る。
「飯島さん、モテモテですね。私の事は
気にしないで電話の彼女さんに会いに行
ってください」
って…早希、怒ってるのか⁈
おもしろい女。
真愛実のせいでイライラしてた気持ちも
吹き飛ぶ。
普通の女は、そんなこといわないな‼︎
笑いが止まらない。
「早希ちゃん置いていけないよ。電話の
彼女達には、また今度って断ったから今
日は早希ちゃんだけだよ」
普通の女ならこれで喜ぶんだが、冷たい
視線を送る早希には効き目がなかったよ
うだ。
足もとがおぼつかない早希を家まで送っ
た。
『おやすみなさい』
上目遣いで目を潤ませている早希が愛し
くて無意識に手を引き寄せ、おでこにキ
スをしていた。
「なんで…」
固まる早希。
ただ、したかったから…
それ以外の理由なんてみつからない。
早希の頭をポンポンと叩き、家路に向か
った。
もう、合わない方がいいと思うのに会い
たくなる。
いつものようにカウンター席で拓海達に
ついて話をしていると何度も鳴るスマホ。
「ねぇ、出たらいいのに‼︎さっきから同
じ子でしょう」
鳴るたびに邪魔をされ機嫌の悪い早希。
「いい、もう解決しているから…」
《真愛実》
もう、俺をほっておいてほしい。