恋は盲目 Ⅱ 〜心を見せて〜

「奈々の恋話聞いてあげたいけど、今は

無理。これ、20時までに終わらせないと

いけないから詳しいことは明日でもいい

⁈」


打つ手を休め、奈々に振り向く。


「うん。」


「で、奈々のハートを射止めたのはどこ

のどいつよ⁇」


「……忙しいんでしょう。明日、ちゃん

と言うからその時にでも」


逃げようとする奈々。


「気になって仕事できないわよ。どんな

奴かだけ教えなさいよ」


飯島との会話が頭をよぎった。


奈々に好きな男がいるなら、あの話は断

らないといけない。


「……早希も見ていたじゃない。この間

やたらと絡んできた男の人」


あー、あのイケメン君。

ということは、あの後2人に何かあって

奈々は悩んでるって事ね。


「ふーん。名前は⁇」


目を瞬きする奈々。


「藤原 … 拓海さん」


全てを悟られてると観念して名前を白状

する。


「藤原 拓海‼︎奈々を悩ます男ね…明日、

詳しく聞くから…じゃあ、お疲れ〜」


奈々に笑顔を向け、パソコンの画面に向

き直る。


「…お疲れ。……明日ね」


背後でカツン、カツンと奈々のヒールの

音が遠のいていく。


なんとか仕事を終え、ダイニングバー【

コンフォルト】前。


スマホの画面を見ると20時ちょうどだっ

た。

扉を開けると…

「いらっしゃいませ」

このお店のマスターがカウンターから笑

顔で出迎える。


「お待ち合わせですか?」


こんな時間にお一人様ですか?なんて言

わないのは流石。


私のタイプじゃないけどあご髭の似合う

ちょっとワイルド系のマスター。


「そうなんです」


カウンター席に座り答える。


「夜にご来店られるのは初めてですね⁇

いつもは、お友達の女性と2人でランチ

タイムに来店されてますよね」


「よく、覚えてますね」


「えぇ、客商売なのでだいたい1度ご来

店されたお客様は覚えてますね。特に、

素敵な女性は、忘れません」


ウインクするマスター。


「本日は何にされますか?」


「夜の軽食でおすすめってありますか?

実は、お腹空いてて軽く食べたいんです

けど…」


「そうですね。生ハムと野菜を挟んだサ

ンドでもどうですか?つまんで食べれま

すし、すぐお出しできますよ」


「それお願いします。ついでに『ビール

2つで』」
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