恋は盲目 Ⅱ 〜心を見せて〜

「それが、無理みたい。早希となら行っ

てもいいって言ってくれたから…」


本当に拓海さんは奈々を愛してるのね。


1人にしておいて悪い虫がつくかもしれ

ないなら私と一緒にいれば安心って訳か

‼︎


「了解。今から行くね。場所はどこ⁇」

「……の最上階」

「この上じゃん」


まわりは、邪魔する建物もない高さ101

メートルのビルの最上階のレストラン。


夜に行くのは初めてだ。


ガラス張りのエレベーターから見える夜

景がとても綺麗。


どんどん上昇して、最上階。

チン。

扉が開くと昼間とは違いウエイターが出

迎える。


「いらっしゃいませ。お客様のお名前お

伺いしてよろしいでしょうか?」


「はい…藤原で予約してあるのですが⁈」

「お待ちしておりました。席へご案内い

たします」


ウエイターに案内されるが奈々はまだ来

ていない。


個室のテーブル席は、照明を落としキャ

ンドルの灯りが部屋を照らす。


素敵…


遠くで鮮明に光るイルミネーション。


雅樹とここで過ごしたかったなぁ。


外を眺め、奈々が来るのを待っていると

ガラスに映る背の高い黒い影。


ウエイターかしら?


突然、背後から抱きしめる腕。

見覚えのある綺麗な指先。

うそ、まさか…よね。

心が騒つく。


「早希…会いたかった」


耳に届く優しい声は忘れられない雅樹の

声…


ぎゅっと強く抱きしめられ頭上からせつ

なげに話しだす。


「ごめん…不安にさせないって言ってお

いて、早希を苦しめていたなんて知らな

かった」


雅樹の声に潤む瞳

「俺がちゃんと話しておけば、こんなに

お互い苦しまなくて済んだのに、ごめん

…早希に会えなくなって…辛かった。奈

々ちゃんが事情を説明してくれなかった

ら俺はもう女を信じられなくなって……

前よりひどい男になっていたと思う。や

っと信じれる大事な存在を手に入れたの

に裏切られたと思っていた。そうじゃな

かったんだな……俺が早希を苦しめてい

たなんて…言い訳はしないから、話を聞

いてほしい。聞いたうえでもう一度チャ

ンスをくれないか?それで早希の気持ち

が変わらないなら、俺は早希を手放す」


「……わかった。聞くわ」


私も、もやもやしたこの感情から抜け出

したい。
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