恋は盲目 Ⅱ 〜心を見せて〜

あの日、ちゃんと話をせずに別れを選ん

だことを後悔していたのだから…ちゃん

と雅樹と向き合い前に進みたい。


そのまま、横に並ぶように2人でガラス

の窓に寄りかかると手を繋ぐ雅樹。


かすかに震える手から雅樹が緊張してい

るのが伝わってくる。


いつも私の前では自信に満ちて俺様だっ

た雅樹の表情は、暗くてぼんやりとしか

見えないけど強張っているように見えた


「なにから話ていいのかわからない…質

問に答えるから早希の不安だったことを

言ってくれ…」


わからないぐらい、ぐちゃぐちゃなの⁇

雅樹らしくない。


「……私ね、どんどん欲張りになって、

その癖、雅樹の本心が怖くて聞けなかっ

たの」


「……」


「雅樹に抱きしめられた時に、たまに匂

う甘い香りに嫉妬してた」


クスッと笑う雅樹。

なぜ笑うの⁇

真剣に悩んでいた原因の一つなのに‼︎

うちポケットから出すタバコ。


「雅樹…タバコ吸うの」

「たまに、仕事でイライラした時の安定

剤…」


タバコを一本取り出し火をつける。

ほのかに香る甘い匂いがした。

うそ…この匂い…

驚く早希に雅樹は微笑む。


「早希を抱くことが俺の安定剤代わりに

なってタバコを吸う回数も減ってたんだ

が、会えなくなった途端吸う回数も増え

たけど…これで一つ解決した⁈」


「……うん」


先ほどまでの強張りが嘘のように、雅樹

の表情は落ち着いて笑みを浮かべ始めた


なに、その余裕な顏。


「次は…⁇」


「…真愛実さんって誰⁈雅樹のなに⁈」

「本題にきたか⁈」


はい…そうですよ。

後回しにしても仕方ないじゃない。

雅樹を見つめる早希。

「真愛実は、俺の大事な……妹だ」


「うそ…⁇」

「うそなんてつくかよ。妹って言っても

父親違いの妹だけど、一緒に暮らしたこ

とはないんだ。……ここからが大事な話

だからちゃんと聞けよ」


「うん…」


「俺は、物心ついた時から母親に拒絶さ

れきたんだ。あんたなんかいなければあ

の男と別れる事ができるのにと言われ続

けてきた。でも、父は一人っ子の俺に優

しく、休みの日にはよく遊んでくれた。

その父も俺が小学生になる春に事故でい

なくなった。母は、父の死後、俺を祖父

母に預け再婚したら直ぐにその相手との

間に子どもが生まれた。
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