恋は盲目 Ⅱ 〜心を見せて〜
「本気よ。…私だけを見てくれない男な
んていらない。さようなら…」
「…………。」
そんな、嘘だと言ってくれよ。
緩んだ手から抜け出て行く早希。
彼女は、俺から離れないと思っていたの
に、私だけを見てくれないならあなたな
んていらないと俺から離れてしまった。
母の死と重なり、一方的に別れを告げら
れ、早希も他の女と同じ、自分勝手で、
本当の俺を見てくれてなかったのだとシ
ョックで立ち直れない。
彼女が離れてしまった心にぽつんと空い
た穴……
彼女を失って気づいた気持ち。
俺は、早希を愛している。
母の死は、次第に時間が解決してくれた
が、早希との別れは、どれだけ経っても
立ち直れずにいた。
この世にいない母との別れを悔やんでも
母が生き返るわけでもない。
だが、早希は……
他の男の物になったのなら、奪い返せば
いい。
やっと、そう思うようになった頃、拓海
の彼女の奈々ちゃんが話があると言うの
で拓海と3人で会うことになった。
クリスマスイブ
なぜ、こんな日に⁈
「雅樹さん、早希のことどう思ってます
か?」
どうってなんだ⁇
「その意味って、早希のこと好きかって
こと⁈」
頷く奈々ちゃん。
「好きだよ。いなくなって思い知らされ
てるよ」
「自業自得だろうが…」
拓海が毒吐く。
あはは〜、その通りかもな‼︎
早希が本当の俺を見ていないと怒りを覚
えてたが、俺も早希を見ていなかった。
不安にさせないって言いながら、言葉が
足りずに不安にさせ母のことも、真愛実
からの電話のことも説明しておけばきっ
と別れることはなかっただろう。
「それを聞いて安心しました。早希は、
誰とも付き合っていません。今でも雅樹
さんのこと好きなんです。だから、ちゃ
んと話合って下さい。そうじゃないと…」
涙を浮かべ、早希を心配する奈々を抱き
しめる拓海。
「お前達には感謝しているんだ。だから
誤解なんかでダメになってほしくない」
差し出された101ビル最上階のレストラ
ンの予約席のチケットとグランドホテル
・スイートのカードキー。
「早希を呼び出すので、後は、雅樹さん
次第です」
「オレ達からのクリスマスプレゼントだ
。上手くいかなかったなんて言うなよ」
「あぁ、…恩にきるよ」
早希の心を取り戻してみせる。