恋は盲目 Ⅱ 〜心を見せて〜
「その、あいつってどんな人ですか?
何歳でどこにお勤めですか?
名前、教えてもらってもいいですか?」
「すごいね。一気に質問されるとは思わ
なかったよ」
「すみません。ちょっとこちらにも事情
がありまして……」
「事情ね⁈もしかしてだけど、その子
好きな奴がいるのかな⁈で、君はそい
つの名前を知っているとか⁈」
なんなの、この人すごいわ。
「正解です。友達、奈々って言うんです
けど本当に天然でマイペースで、なんて
言うか恋愛には疎いんです。だから…」
「わかったよ、そんなに慌てないで一つ
ずつね。さっきの一つ目の質問だけど、
簡単に言うと黒王子‼︎」
はい⁇意味わかりません。
「俺と正反対のイケメンで、あんまり女
の子に愛想が良くないんだよね。仕事に
厳しくて女の子泣かすこともある。でも
それが女の子からしたらクールに見える
らしくて顔がいいからモテる」
今、さりげなく自分もイケメンだとおっ
しゃいましたが…
二つ目の質問だけど、俺と同じ会社の営
業マンね。俺の会社、情報誌を作ってる
んだけど、あいつは雑誌に掲載してもら
う店を探して営業に回ってるんだ。歳は
28で俺達同期ね。ちなみに俺は、広告担
当…」
また、さらっと話の中に自分の情報混ぜ
ましたね。
「3つ目の質問は、名前だっけ⁈」
「はい…」
「藤原 拓海…」
「……えっ、えー。マジですか⁈」
「マジ‼︎名前を知ってるってことは2人は
、何度か会ってるって事だよね」
「そうみたいですね。…それなら別に合
コンしなくてもよくないですか?拓海さ
んからアプローチすれば、奈々喜びます
よ」
イタズラを思いついたように笑みを浮か
べる男。
「それじゃ、面白くないんだよね。やっ
とあいつが真面目に恋愛する気になった
のに、友達として応援しないとダメだと
思うんだ。だから君も奈々ちゃんの為に
俺と手を結んで協力しなきゃいけない」
決定事項ですか‼︎
それより、おもしろがってますよね…
奈々には、悪いけどあまりこの人と関わ
りたくないな…
でも、なにかを企んでるこの男が気にな
る。
奈々のためになるなら仕方ないよね…手
を組むしかない。
自分に言い聞かせ、芽生えた小さな感情
をごまかした。
2人は、拓海と奈々のために作戦を練り
始めた。