love letter~由香~


二人の姿を見て、ピタリと止まった足は動く気配さえしない。



「うん……。もう少ししてから……」

「じゃあー、トイレにでも寄って行こうか」



愛美にいつも気を遣わせている。

早く立ち直らなきゃ……。


何回も何回もそう決心するのに、笠原くんの姿を見かけるたびに、その決心はあっけなく崩れてしまうんだ。



「……笠原、あの子と付き合っているのかな」



逃げるようにして駆け込んだ女子トイレ。

髪を梳かしながら愛美が鏡越しにあたしを見た。



「さぁ……、どうかな」



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