love letter~由香~
*告白*
放課後――。
ホームルームが終わり、帰る準備をする前に、あたしは笠原くんの席に走る。
「じゃあね、笠原くん」
思い切って声をかけると、笠原くんは普通にあたしを見て「じゃあな」と言葉を返してくれた。
なにか用事でもあるのか、笠原くんは大慌てで教室を出て行く。
もう少し話したかったな。
いまだ夢見心地のあたしは、そんなワガママなことをふと思ったりもして……。
「おっ、尾関。帰らないのか?」
笠原くんが走り去ったあとの廊下をぼんやりと眺めていると、翠川くんがあたしの肩をぽんと叩く。
「うん、帰るよ」
そう言って愛美の席を見ると、いつも一緒に帰っている愛美の姿が見つからない。