DOLL
ダレ…―?

思ったところで,ぼくの声は人間なんかに届かない。

「うさちゃん,痛そうだし冷たそう…」

少女はそう言うと壊れないようにそっとぼくを抱っこした。

サワルナ…ドウセマタステルンダロ…??

そうだ…どうせまた捨てられるんだ。

人間は物を粗末に扱う生き物だ。

「大丈夫??一緒にお家に帰ろうね―。」

ぼくの湿った頭をなでながらにこっと笑う少女。

よく見ると少女は傘をさしていなかった。

「名前付けてあげようね―。」

ナマエ…?ソンナノトックニナイ…―。

「う―ん…」

少女は歩きながら眉間にシワを寄せて考え始めた。

ぼくの名前なんていらないからこの場で下ろしてほしい…。

「ボタン!!ボタンちゃん!!」

ボタン…―?

少女は嬉しそうに笑っている。

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